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思いやり

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 「小さな親切大きなお世話」とか「ありがた迷惑」という言葉があります。自分では親切と思うことが、実は相手には余計な迷惑だいう状況を表わします。

 「思いやり」とは、自分の思い込みや相手の状況を自分の身に置きかえて考えることではなく、相手の立場に立って考えることです。相手を「思いやる」心が無い場合、一方的に自分の思いを相手に押しつけ、結局、自分では親切のつもりでも自己満足ということになりかねません。

 相手を「思いやる」ためには、相手をよく知り、理解することが前提になります。相手の言葉だけではなく、表情や日頃の対応から言葉にならない心情を読み取り、自分ならこうしたい、こうするのにと思うことがあっても、相手の立場になって考え行動するということです。

 相手がそっとしておいてほしいと思っているだろうと想像する時にはあえて何もしないことも思いやりでしょう。

 ですから、思いやりという意味には、相手の気持ちを想像することも含みます。相手の言動が理解できない時、その背景にどんな気持ちがあるのかを考えてみる心の余裕が必要です。そのために、まず自分の気持ちを冷静に受け止め、客観視することがヒントになるかもしれません。

 今、私はどんな気持ちでいるのでしょうか。案外、私たちは自分の気持ちや心の動きに鈍感です。自分の気持ちを落ち着いて受け止め、ふり返る中で、私は、度々神様のいつくしみに気付かされます。自分を責めることなく、落ち着いて自分の心や気持ちを見つめることを通して、ありのままのこの私が生かされ、ゆるされていることを実感でき、他の人の気持ちを想像し、思いやるヒントをいただくのです。