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思いやり

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

 「職場のマナーで、嫌な気分になるのはどんなことですか?」

 このような問いのアンケートを、あるマナー講師が研修会で参加者に取りました。その結果を知って、私は少し驚きました。

 上司・先輩が、部下に対して嫌な気分になることの1位は、「さっきまで、いたと思ったらあいさつなしに帰っていた」ということだったそうです。逆に、後輩・新人が先輩に対して嫌な気分になることの1位は、「あいさつをしても目上の人は返してくれない」でした。

 つまり、両者とも、「あいさつをしてくれない」ことで嫌な気分になっているのです。

 私も人からあいさつをしてもらえず、無視されたような気分、寂しい気持ちになった経験は多々あります。あいさつが返ってきても、ぶっきらぼうだったり、視線が別の方向にあったりすると、がっかりすることもあります。

 でも、もちろん逆のケースもあります。

 「おはようございます」と、にこやかにあいさつされると、やはり嬉しく思います。「お先に失礼します」と、先に退席する時も、「お疲れ様でした」という返答があると、ほっとするものです。

 たった一言であっても、心のこもったあいさつは、幸せな気持ちを生み出すものですね。「あなたのことを気にかけていますよ」「あなたが大切なのですよ」と言われているような思いになることもあります。

 あいさつは、礼儀やマナーですが、相手への敬意や思いやりから生まれてくるものだからでしょう。

 イエス・キリストは、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい。」と言われました。(マタイ7・12)

 ささやかですが、あいさつを通した思いやりも、神様が望まれていることに思えるのです。