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言葉の力

黒岩 英臣

今日の心の糧イメージ

 しばらく前、一通の見慣れない郵便物が舞い込みました。何気なく開いてみたところ、何とそれは、どうせいつまで待っても届かないだろうと、ほとんど期待していなかった政府からの、「持続化給付金の振り込みのお知らせ」と書いてあるではありませんか。

 ホー、ホー、ホー、いつ申し込んだんだっけ。世の中のお父さんの中には、私のように、何をどういう風に、どこへ申し込むのか、そもそも役所という所の言葉は、自分にも使える日本語なのか、という基本的問題を抱えている人も多いのではないでしょうか。

 今回の事の発端は、私の息子にありました。この息子も私同様、音楽家で、私が毎年の税務をお願いしている会計事務所に、自分も税金のことで相談に乗ってもらっているのですが、そのやりとりの中で、先ほどお話した持続化給付金を申請してあげるということになったのだそうです。

 私も今年の秋まではコンサートが全部無くなってしまって、まさに収入はゼロになっていたので、息子から「お父さんも絶対貰えるはずだよ」と背中を押されたので、その旨を会計事務所に知らせたところ、何か然るべく書式を整えて申請してくれた結果がこれだったのです。因みにこれは、私には絶対しゃべれない魔法のような言葉に違いありません。

 そこで私は、事務所の方にお礼を書きました。「思いがけず給付金の申請が受理されて、私は、欣喜雀躍、狂喜乱舞しています」。

 これは確かに私の内心を表している言葉ですが、いささか品格が・・。

 やはり、私が困っているのをご覧になって主が助けて下さっている訳で、喜んでよいところは素直に喜ぶとして、私も小さい兄弟に手を伸べなければと、改めて思い直しております。