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幼子誕生

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

 クリスマスには、誰か大切な人に贈り物をあげる習慣が世界中にありますね。

 なぜ、クリスマスに贈り物をあげるのでしょうか。

 それは、まず神様が私たちにしてくださったからでしょう。

 実は、クリスマス自体が神様からの私たちへの贈り物です。

 約2000年前の聖なる夜、神様は、歴史上もっとも高貴で価値ある贈り物を私たちにくださいました。すべての人に救いと大きな喜びを与えるために、神様ご自身が、人間の姿、しかも幼子となってお生まれになったのです。

 それゆえ、クリスマスの喜びはその後、世界中に広がっていきました。

 ところで、聖書の記述に比較的忠実な、『手塚治虫の旧約聖書物語』という漫画の本があります。

 この本は、主の御降誕の感動的な場面で終わります。

 言葉だけの紹介になりますが、じっくり想像してみてください。

 クリスマスの夜、輝く星に誘われて、幼子の生まれた馬小屋にたどり着いた人々は列をなして、次々と誕生の祝いの贈り物をします。

 そのなかに、ひとりの貧しい羊飼いの少年がいました。

 少年は贈り物にできるものを何も持っていません。

 ですから幼子を胸に抱くマリア様の前に出ると、おずおずと恥ずかしそうにつぶやきました。「...ぼく、贈り物、なにも持ってません」。

 けれどもマリア様は少年の手を取り、にっこり笑ってこう答えたのです。「いいのですよ。あなたは、あなたの心を持ってきてくれました」。

 そうなのです。幼子もマリア様も、救い主の誕生を祝い喜ぶ心を贈り物として受け取ってくださるのです。

 2000年後の現代、私たちが捧げる贈り物を、イエス様もマリア様も笑顔で喜んでくださいます。