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幼子誕生

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 ずいぶん昔、本の題名もすべて忘れてしまいましたが、ある本を繙いていたら、こんな意味の詩に出会ったことがあります。「この世における愛が信じられない時でさえ、幼子の無心の笑顔が愛を呼び覚ましてくれる」というものでした。

 末っ子で育ったわたしは、自分より小さい子がいなかったので、小さいものを可愛いと感じたことがありませんでした。しかし、この詩の影響かどうかは分かりませんが、今は子どもだけでなく、動物でも小さな生き物を見ると可愛く感じるようになりました。それで、幼子を抱いた聖母マリア様のご絵が大好きで、部屋にも飾っています。

 わたしはイスラエルを3回訪ねたことがあります。最初の時は、エルサレムの聖書研究所に滞在していたので、ベトレヘムにあるご降誕の大聖堂内にある、降誕の場所を身近で見ることができました。やはり、聖地というか、実際の現場を見るということは非常に大切な体験だと思います。その後も、2回ほど巡礼団の一行を引率して行きましたが、エルサレムの聖墳墓教会は別格として、やはりベトレヘムの聖誕教会、すなわち大聖堂は圧巻でした。

 また、羊飼いたちに天使たちが現れて、「大きな喜び」である救い主が幼子として誕生されたことを告げた場所に建立された聖堂もきれいでした。

 さて、皆さん、神の御子はなぜ幼子として聖母マリア様からお生まれになったのでしょうか。それは、どんな人でも幼子を見たら、可愛いと感じるからではないでしょうか。神さまと言うと、多くの人は、恐れを抱くものです。神さまに会うと誰でも畏敬の念に圧倒されます。けれども本当は、「神さまって何と可愛い方でしょう」と近寄って愛されたいのではないでしょうか。