心を一つに

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

 新型コロナウィルスの感染拡大がピークに達しようとしていた、今年の聖週間の事です。

 主日のミサが中止となって1か月以上経ち、四旬節は信徒一人一人が独自の方法で、反省と祈りと聖書朗読で日々を送りました。

 聖週間の初日となる「枝の主日」。ミサは中止でも棕櫚の葉を入口に用意した教会がある一方、キリストのエルサレム入場の再現として神父様を聖堂に迎える際、会衆が棕櫚の葉を打ち振り、神父様から祝福を受けるという一連の儀式にこそ意味があり、ミサが行われないのに用意する必要はないと決定した教会もありました。

 最後の晩餐を記念する聖木曜日も教会は静まり返っていました。

 遂に国が緊急事態宣言を発令するまでになり、外出の自粛が求められましたが、足腰を弱らせないようにと散歩は奨励されていました。

 キリストの受難の日である聖金曜日を迎え、私はせめて「十字架の道行き」をしてご受難を黙想しようと思い、午後2時に家を出ました。キリストが息を引き取られた3時に最後の祈りを合わせたかったのです。この1か月散歩を兼ねて度々聖体訪問に教会を訪れましたが、大抵無人でした。ところがこの日、教会では既に数名が道行きを始めていらっしゃいました。私も追いかけて一緒に祈り、14留までをゆっくりまわりました。

 普通に日曜毎のミサに預かって、ご聖体を頂いて安心する信仰習慣がコロナ騒ぎで断ち切られた事で、一人一人が自らの信仰を自らの意思で問い直し、自らの言葉で祈る事の大切さに気付かされたのです。

 思い返せば、私が長年描いてきた殉教者や潜伏キリシタンたちは、神父様が不在の250年余りの間、互いの心を一つにして祈り、支えあって信仰を守り抜いたのです。

心を一つに

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

 2019年の流行語大賞は、「ONE TEAM(ワンチーム)」になりました。

 この「ONE TEAM」とは、昨年秋に開催されたラグビーワールドカップ2019日本大会で、多くの人に感動と希望をもたらした、日本代表のスローガンでしたね。

 日本代表選手31名は日本を含めた7ヶ国の出身者から選ばれていました。

 異なる文化や背景を持つ選手たちが、互いにリスペクトし合い、日本の歴史や文化を学び、厳しい合宿を通じて、家族のような一つのチームになりました。

 そして、選手全員がベストエイトという史上初の目標を共有し、見事、成し遂げたのです。

 選手たちが真摯にひたむきにプレーする姿を、私もテレビを通して応援しながら、選手たち、テレビを一緒に見ていた友人たち、会場の観客たちとも一致団結できたように感じました。

 そして、私たちも心を合わせてがんばれば、きっと素晴らしいことができると改めて教えてもらったように思っています。

 さて、それはもちろん、スポーツだけの話に留まりません。

 イエス・キリストは言われました。

 「はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる」(マタイ18・19)

 たとえば、世界で猛威を振るっている新型コロナウイルスの完全な終息についてもそうでしょう。このウイルスの拡大を止めるには、人と人との接触を避け、距離を保つように自粛することが重要とされます。人と会う機会は減りますが、私たちがこれまで以上に積極的に心を一つにして願い続け、一致して対抗すれば、終息を迎える日はきっと早まるのです。


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