心を一つに

遠藤 政樹

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 私はミサの中で歌われるカトリック典礼聖歌集の中の「ひとつになろう」という曲が大好きです。「ひとつになろう キリストのうちに みな ひとつになろう」と繰り返して歌います。

 今、この歌声が希望と愛の中で世界中に広がっていくことを、願っています。

 令和の時代に入り、自然災害からの復興や、日本中が期待と感動に胸膨らませ、急ピッチで進めていたオリンピック開催への準備、そして、グローバル化によって世界中の人々の移動と交流が増え、生活習慣、仕事の変化への対応に追われていた私たち。

 そんな私たちを待っていたのは、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大という大きな試練でした。人類全体を襲うこのウイルスは、私たちに、当たり前だったことが出来ない生活を強いることとなりました。

 そんな中、世界中の多くの人々が、人の命を守るために心を一つにして様々な行動を起こしました。医療従事者はもとより、私たちの毎日の生活に欠かすことができない仕事に従事する人々に改めて感謝しながら、それらの人々やすべてを支える行動は、どんな小さなことでも必ず社会の中で生かされるのだということを知りました。

 私たちは苦渋の選択を強いられながらも、今、しっかり前を向いて生きようとしています。

 今、この時、それぞれの国策や宗教は違っても、世界中の人々が、心を一つにして世界平和を祈り続ける時、平和への道は、必ずや開き、一歩、一歩前進していくと信じています。

 古希を迎えた私も、まだまだ元気で、力強く一歩一歩踏みしめながら歩んでいきたいと思います。

 「ひとつになろう キリストのうちに みな ひとつになろう」

心を一つに

服部 剛

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 今春、新型コロナウイルスによる感染拡大で、我家の生活も一変しました。知的障がいのある8才のひとり息子も特別支援学校が休校となり、毎日うちにいます。妻と〈協力して乗り切ろう!〉と心に決めて、家族で自粛する日常が始まりました。

 介助が必要な息子。夫婦で意見が違う時も互いに歩み寄り、共に生きる大切さを実感しました。 そのような日々を私は詩に綴ってみました。

*      *

 令和2年春、コロナウイルスは世に蔓延り、入院中の恩師に会えず、実家の両親に会えず、隣町の友にも会えず、一つ屋根の下、妻と幼い息子と共にひと日を過ごし、夕暮れる。

 ついこの前まで実家で食べたお袋の味や仲間と囲んだ食卓は、もはや夢のような幸いだったと今更ながらに私は知る。

 互いの顔を合わせ握手さえできない今、体の距離は離れているが、なぜだろう、心の距離は近づき、今宵、私は不思議なほど会いたい誰かの瞳が視える。

 君よ、遠い瞳で私を見つけてくれて、ありがとう。

もうこれ以上かけがえのない人々が目に見えない敵にこの世から連れ去られぬよう、逝ってしまった人の命を決して無駄にしないよう、今こそ心と心を結ぶ縁の糸を想い、部屋の中に佇み、私の今を見つめよう、日々の素朴な暮らしを営もう。

 『ステイ ホーム』の発令に、世界が覆われた季節の中で、地球という壊れかけの住家の回復を諦めず、夢見て

 君よ、また会おう。再会の日に互いの肩を抱く瞬間を、私は待つ 

 (幾重もの闇を、光の矢は貫いてゆく)

 今夜も、いつしか妻と息子の寝顔が並ぶ、ある街の静かな家で、秒針が刻む時の音を、私は一人聴いている。


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