心を一つに

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 心を一つに...。新型コロナウイルスの猛威が世界中に広まり、いのちの大切さを切に思い、切に願う今年ほど、「心を一つに」ということを深く想った年はないのではないでしょうか。

 学校はお休みになり外出自粛、お仕事もご自宅で行うことが多かったのではと思います。当たり前の様に人と会っていたことが当たり前でなくなり、人によっては同じ家にいても、大切な家族とも会えない状況に置かれている方がおられることに心を痛めます。

 その様な中で、いのちが守られますように、早く回復します様に、収束します様に...と、同じ思いを持って、多くの方々と心を一つにして祈り、願われたのではないかと思います。

 心を一つに...。直接会うことはできないけれど、同じ目的をもって意識をもって、ともに何かをする、同じ時を過ごす。この大切さをあらためて心に刻んだのではないでしょうか。

 私たちは、普段は家庭や学校、職場でも社会で、人々とともに生きています。誰も一人で生きることはできず、ともに生きる存在なのですから。その様な中で、今、私たちにとって生きる上で何が大切なのかを、一人一人考え、その問いに対して答えを出していくことが求められているのでしょうね。

 ともにいることができたとしても、できなかったとしても、心を一つに何かを行うこと、何かを願うこと、祈ることは、私たちが生きていく上で、本当に大きな力、大きな心の支え、拠り所となります。人という漢字の様に、人と人とは支え合って生きているのですから。

 心を一つに...。このような困難な状況にあっても、大切な人に寄り添い、想いを同じくして、力強く歩んでゆくことができます様に。私たちの歩みに神が寄り添って下さいます様に。

心を一つに

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 「心を一つに」という表現は、一人ではなく、だれかと協力して何かを達成しようとするときに使われます。

 喜怒哀楽のある人間の心は、絶えず、流動的です。その人間同士が、心を一つにするということは、そこに何か、そうさせる重大な動機があるに違いありません。

 その動機は、国家的要因であったり、全く個人的理由であったり、また宗教的、文化的要因によるなど、実に、さまざまです。しかし、いずれにせよ、本来、人間の心が、真、善、美 を追求して止まないことから生じている現象だと思います。

 即時、瞬間的に、人間の心が一つになれるのは、なんといっても「祈り」のときであります。

 そこには、共通の目的意識と熱意がみられる人間として貴重な尊い瞬間であります。しかも、その目的は、真善美に関わるもので、偽りとか、悪とか、惨めなものに「心を一つに」することは、あり得ません。

 このことこそ、心の心たる所以であります。愛国心、良心、安心、熱心、本心、物心、赤心、真心、つまりまごころ、これらの言葉を見て、その末尾の心は前の言葉(文字)と共に意味深長な美しい言葉を形成しているのが分かります。

 人間一人ひとりに心があり、その心は他の人々の心と通じ合うことができ、一致することもできます。その一致の力は大きく、この世界に絶大な影響を及ぼすことができます。一人一人の心を大切に、いざというときには、「心を一つに」あらゆる難局を打破し、平和な世界を築き上げたいものであります。


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