心を一つに

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 今年は、全世界を新型コロナウィルスという見えない闇が覆った。

 このような日が来るのではないかと怖れていたが、やはり起こった。

 今までわたしは、何を考えて生きてきたのだろう。長い年月、全世界がどのようなことになっているか、痛みを感じてはいなかった自分が腹立たしい。紛争地帯での人びと、飢餓、森林伐採、動物の捕獲......、数え上げればきりがない。映像や写真などを見てはいたが、主イエスが抱かれた真の憐れみの意味、「腸が引きちぎられるような共感」からはほど遠く、単なるかわいそうな人たちで通り過ぎてきてしまった。

 以前、雨宮慧神父の講義を聴いた時に、人間にとって一番誘惑となる言葉は何かと聞かれたことがある。雨宮神父は「有名になりたい」ということだとおっしゃった。さらに続けて、この言葉は聖書のどこに書かれていると思うかと言われたが、答えられる者はいなかった。

 しばらく沈黙があった後、この言葉は、バベルの塔を建設している時の言葉だと言われた。その言葉は「創世記」11章にある。要約すると、世界中から人が集まってきて平野を見つけ、そこに住み着いた。そこでレンガとアスファルトを作った。その次に「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう」という言葉が出てくる。このあと、主は彼らの言葉を通じなくし、そこから全地に散らされた。

 「有名になる」という言葉にとりつかれたら、これは悪魔や悪霊の罠にかかりやすい。

 神様がわたしたちの住む世界をどのように創られたかを思い起こし、次の世代が幸せであるようと願い、たとえこの感染症が収束後も、また何が起こったとしても、全世界の人びとと心を一つにして闘っていきたい。

心を一つに

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 数年前、私は遠くに住む友人と一緒に、同じ時間に同じお祈りをしたことがあります。彼女にとって辛く悲しい出来事があり、「涙が止まらず何も手につかない」とメールがきたので、「じゃ、今、聖母マリアさまの取り次ぎを願って、一緒にロザリオの祈りをしましょう。亡くなった方々が永遠のいのちへ入るよう、私たちのお母さんに願いましょう」と提案しました。

 キリスト信者にとって、マリアさまはお母さんです。天使のお告げを受け、神の母となることを承諾した聖書の話は、多くの画家によって描かれていますのでどなたでも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。それは「アヴェ マリア」から始まるお祈りにもなっています。

 「ロザリオの祈り」はアヴェマリアの祈りを53回くり返すのですが、その際、「ロザリオ」と呼ばれるネックレスのように並んでいる珠を指で繰りながら祈るのです。マリアお母さんはしっかりと私たちの願いを聞き、神さまに届けてくださいます。大変に力強い祈りでカトリックではみんなが知っています。友人と私はそれぞれの場で心を合わせて祈りました。お互いに顔が見えませんし、声も聞こえませんが、私たちは、数年間のつきあいで相手が誠実だと信頼しあっていました。

 二人で祈った後、「ロザリオの祈りでやっと落ち着き、元気を取りもどしました」とメールが来ました。後で知ったのですが、ずっと頭が痛くて寒気がし、咳も止まらなかったそうです。でも、それも快方に向かったのです。私たちの心が一つになった、とても嬉しい経験でした。


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