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心を一つに

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 「心を一つに」という表現は、一人ではなく、だれかと協力して何かを達成しようとするときに使われます。

 喜怒哀楽のある人間の心は、絶えず、流動的です。その人間同士が、心を一つにするということは、そこに何か、そうさせる重大な動機があるに違いありません。

 その動機は、国家的要因であったり、全く個人的理由であったり、また宗教的、文化的要因によるなど、実に、さまざまです。しかし、いずれにせよ、本来、人間の心が、真、善、美 を追求して止まないことから生じている現象だと思います。

 即時、瞬間的に、人間の心が一つになれるのは、なんといっても「祈り」のときであります。

 そこには、共通の目的意識と熱意がみられる人間として貴重な尊い瞬間であります。しかも、その目的は、真善美に関わるもので、偽りとか、悪とか、惨めなものに「心を一つに」することは、あり得ません。

 このことこそ、心の心たる所以であります。愛国心、良心、安心、熱心、本心、物心、赤心、真心、つまりまごころ、これらの言葉を見て、その末尾の心は前の言葉(文字)と共に意味深長な美しい言葉を形成しているのが分かります。

 人間一人ひとりに心があり、その心は他の人々の心と通じ合うことができ、一致することもできます。その一致の力は大きく、この世界に絶大な影響を及ぼすことができます。一人一人の心を大切に、いざというときには、「心を一つに」あらゆる難局を打破し、平和な世界を築き上げたいものであります。