ある人の一言

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 私は、ことし91歳になりますが、私が中学2年のとき耳にした、「 勉強!勉強! 勉強!」という、この勉強激励の言葉は、私にとって強烈なインパクトとなり、今も脳裏から離れません。

 私は、東京・九段のカトリック校、暁星中学で学びましたが、当時、毎月「点読み」と言って、校長先生がクラスを訪れ、クラス全員の成績を発表するのが習わしでした。生徒は、戦々恐々でしたが、そのとき校長先生は、成績発表と同時に激励の言葉を述べ、その結びとして「勉強!勉強!勉強!」と3回連続で力強く発言して締めくくられました。最後のこの3回繰り返しは、強烈なインパクトのある激励でした。

 人生、すべて勉強、一刻一刻が勉強のひと時であり、このひと時を無駄に過ごしてはならないことを生涯の教訓として受け止め、その実践を決意しました。

 そのため、日常生活のあらゆる言動に注意し、その反省も怠らないよう心がけていました。駅に向って歩むときも、又、電車に乗るときも、ぼんやりと行動するのではなく「勉強!勉強!」の心を忘れず、いかに安全に通学・通勤すべきかについて考えていました。交通機関を利用する時、また、車の運転、そして歩いている時も、事故に合わないよう、事故を起こさぬよう、十分注意し、目的地に無事到着するよう万全を期したのでした。

 このように、あらゆることにおいて勉強し、検討して然るべきだと常に思っています。

 この「勉強!」という言葉も、2回の繰り返しではそれほどではありませんが、3回くり返すと「3度目の正直」ということなのでしょうか。不思議と強烈なインパクトとなります。

 「勉強!勉強! 勉強!」、大いに 勉強を促進、激励したいものであります。

ある人の一言

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 「神はすべてのことを通して働かれる」と、私は信じています。

 ふり返ると、神様は、日々の出来事や出会う人々を通して、私に語られ、導かれるということを実感する体験をしてきました。これまで、私には、特に指導的な立場にあるかないかに関係なく、いろいろな立場の人々からの一言にハッとさせられ、心の奥深くまで深く染み入って、神様からのメッセージだと受け取った体験が何回もありました。

 一番大きな体験は、召命の道を識別し、決断するまでの過程で関わってくださった多くの人々の言葉に勇気づけられたり、逆に迷わされたりしたことでした。まさに「言葉は諸刃の剣である」と実感しています。私を励まし、共に喜んでくださった人々の言葉には背中を押され、失敗や間違いを心配し、考え直すようにと言われた言葉には動揺し、深く傷ついたこともありました。

 他人の言葉によって、私の心も多いに迷い、揺らいだものです。しかし、そのようなプロセスの中で、私は、自分の心の動きや望みに敏感に気付き、神様がこれらの人々を通して何を語っておられるのかと祈り、自分の深いところで働かれる霊の導きを確信することができました。

 決断に至った暁には、ある人が、「どんなことがあっても辞めてはだめよ」と、心から私の選択を共に喜び、祝福してくださいました。その一言は、これまでの道のりで度々思い出され、今も私の心に響いています。時折、他人の否定的な言葉に惑わされ、傷ついたことを今も思い出しますが、それらの言葉は、「傷ついてもなお深めたいと思えるような大切なこと」に私を向かわせ、促してくれるメッセージとして、穏やかな気持ちで受け取ることができる私です。


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