「門を叩け、さらば開かれん」「狭き門より入れ」「祈りを常にせよ」「汝の隣人を愛せよ」。朝、教室のきれいに拭かれて黒く光った黒板に、日付と共に毎日書かれていた文語体の聖句です。
校内放送で前奏が流れると、子供たちは慌てて起立し、その日の讃美歌を歌います。その日の聖句について簡単な解説があり、最後にみんなで声を合わせて聖句を唱えます。
ミッションスクールの初等部に在学した6年間、始業までの10分間、毎日の事でしたから福音書の聖句は殆ど暗記しました。文語体はリズム感があり、子供心に有難い大切な言葉だと感じられ、口語訳の聖書に変わったときは大分戸惑いました。
よく対談の時など座右の銘はと問われるのですが、一般的な言い回しが良さそうと判断したときは「隗より始めよ」と「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を取り上げます。心の中では「門を叩け」と「狭き門」の同義語と捉えてのことです。
"ある人の一言"というテーマを頂いて、様々な出会いの中で聞いた励ましの言葉、慰めの言葉、教訓など、沢山の言葉が心に残っていますが、一つにはとても絞り切れないと思いました。どんなエピソードから探そうかと思案する中、「三つ子の魂百まで」というように、子供の頃が懐かしく思い出されたのです。そして友人、恩師、親族など多くの方から頂いた温かい言葉に支えられて今日までの人生を歩んでこられたことに感謝するとともに、深く合点がいきました。
それは思い出の中の一言は殆どすべて聖書のみことばに置き換えられるということなのです。
今更ながら、毎朝、主なる神様からの一言を頂いていたのだったと思うと、初等部時代の日々が宝物に思えるのでした。