私は現在心身共に健康で、来年、2回目の東京オリンピックを迎えようとしています。
「~オリンピックの顔と顔、ソレ、トトント、トトント顔と顔~」の明るいメロディーが流れていた、高度成長期に開催された1回目の大会、皆様はどのように覚えておられるでしょう。
当時中学生だった私は、習っていたピアノのレッスンが、時間をかけて練習しなければならない段階に入っていたこと、また、学校代表で、陸上の100メートル競走に参加することになり、陸上部の先生がスパイクを貸してくださってゴールすることができたことなど、その時の感動が昨日のことのように思い出されます。
また、同時に思い出されるのは、音楽の道を歩む決断のチャンスをくれた、教育実習生として中学生に音楽を教えていた時のことです。
日々、音楽を通して自然に中学生たちと触れ合い、喜びのうちに授業をしていました。中でも、一番一生懸命に授業を受けてくれていた2年生の女生徒からもらった手紙の言葉は、今も心に残っています。
「先生は学校の先生にならないでください。頑張ってプロの音楽家を目指してください。すてきな歌声とピアノでした」。
この手紙は、私を教育現場に導くだけではなく、プロの音楽家としての道をも歩むきっかけとなったのです。
多くの人に支えられながら、また、青少年の心の成長に寄り添いながら、音楽教師として45年間、幸せな日々を過ごす事ができました。と同時に今、大学生の合唱団や教会の合唱団、学校の保護者の合唱団などの指揮をしながら、プロの音楽家としての道を歩んでいます。