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ある人の一言

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 人という漢字の姿にある様に、私たちは支え合って生きています。互いのことを思いやり、大切にしながら生きる。自分という小さな存在が受け止められ、大切にされているのを実感するとき、それは生きるための大きな力となります。

 現在修道司祭として歩んでいる私ですが、2002年末、大学を卒業してから勤めていた会社を辞め、次の春から修道生活という新たな道に進もうとしていた時のこと、退職の前後それまで長年お世話になった方々にお会いしてご挨拶させていただき、そして多くの方が送別会を開いて下さいました。

 「頑張って」「行ってらっしゃい」など、多くの励ましの言葉を掛けていただきましたね。温かな言葉をいただいて嬉しく思うと同時に、お別れするんだなぁという、一抹の寂しさも感じていたでしょうか。

 そのような中、送別会の折、「戻ってきたら歓迎会を開いてあげる」。この様に仰って下さった方々がおられました。とても心に染み、新たな歩みを歩みだそうとする私に大きな力を与えてくれました。

 新しい道に進むことを祝って喜んで送り出してあげる。もし戻ってきたとしても喜んで迎えるわね。その様な想いでその同期たちや先輩方は送り出して下さったのでしょうね。

 ちっぽけな私のありのままの存在を丸々受け止め、包んで下さったこの一言は、私の中で特別なこと、特別な言葉として、宝物としてずっと大切にしています。

 言葉は人の心の現れ。その言葉、その心に触れて力をいただき、大きく変えられながら、私たちはともに歩んでゆく様に思います。私たちの語る言葉が人を思いやり、人を大切に包む言葉であります様に。いただいた言葉を大切にして、歩んでゆくことができます様に。