昔、大学生の時に参加した春の黙想会の時だったと思いますが、こういう話を聞きました。「天国では全ての愛が矛盾なく存在する」というのです。本当にびっくりしました。そして、天国というところの説明として、とても納得のいくことだと心から思いました。
子供の時から、天国では花が咲き、小鳥が鳴き、というように教わって、天国とはそういうところなのだと思っていました。確かにそういうところでもあるでしょうが、それよりも、不安や困難を抱えて大人に成りかけていた私にとっては、「全ての愛が矛盾なく存在する」という言葉は想像をはるかに超えた素晴らしい説明に思えました。それは一生をかけて憧れるに足ると思ったのです。考えてみれば、ただ花が咲き、小鳥がなく、というだけでは、美しいけれどなんだか物足りないような気がします。人間の愛や悲しみに対しての説明がないからでしょうか。
そして、それに関わって思い出すのは、この頃みませんが、以前にテレビでニューヨークのアクターズ・スタジオという役者のための学校の番組がありました。毎回いろいろなスターたちが出て、自分の困難な時代の話などを司会者の質問に答えて話すのです。そして、最後に必ず、「天国に着いたらなんと言いたいですか」と聞かれるのです。あるいは「なんと言ってもらいたいですか」だったかもしれません。みんなそれぞれ、とても素敵でしたが、その中で、一番忘れられないのは、メリル・ストリープという女優さんが「天国に着いたら、後ろに続く仲間たちに、あんたたちも一緒に入りましょう、さあ早く、早く」と言って、みんなで一緒に入るというのです。なんて素敵な人だろうと思いました。