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夏の思い出

遠藤 政樹

今日の心の糧イメージ

 夏が近づくと「夏がくれば思い出す、はるかな尾瀬、」の歌詞で始まる愛唱歌、江間章子作詞、中田喜直作曲の「夏の思い出」を自然と口ずさんでいます。私が大好きなこの曲は、まだ戦後で貧しかった日本中にラジオから流れていて今でも歌い継がれています。

 私は長い間、四季が美しい日本の自然と、平和な日々について書かれた歌だと思って歌っていたのですが、実はこの曲の作詞家が、戦争中に疎開していた尾瀬の様子と、終戦の思いを歌詞にされたと知った時の驚きを忘れることが出来ません。

 それ以来、この曲を歌ったり、耳にした時にはいつも、平和の中で生きる喜びと感謝をこめて、歌い継がなければと思っています。

 教会でも、暑い8月の初めには、「日本カトリック平和旬間」として、平和のために祈ることを大切にしています。

 私が少年時代、夏休みによく友達の家へ遊びに行きましたが、当時はどの家にも軍服姿の写真が一番大切な部屋に掛けられていました。お国のためにと戦地へ出兵し、ほとんどが最前線で戦死された兵隊さんでした。

 家族の大切な命が、若くして天に召されたのです。残された家族の気持ちが、いくつになっても私の心に重くのしかかります。お盆にふるさとに帰り、お墓参りをして祈る人々の姿に接すると、家族愛に心打たれます。

 戦争はまだ終わっていないのです。

 そして、平和で恵まれた夏休みの日々を過ごしている若者達を、戦場に送ってはならない、決して戦争の悲劇を忘れてはならないと思います。

 カトリックの典礼暦で8月15日は、聖マリアの被昇天祭です。終戦記念日でもあるこの日、人間として生涯を送られた聖マリアの取り次ぎによって、世界中の平和を祈りたいと思います。