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夏の思い出

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 わたしは、東北の山国に生まれ、育ちましたので、夏の思い出といえば、山しかありません。

 最近は海も好きになりました。以前、3月にイスラエルを旅行した時に、最後に地中海に面したヤッファの町の喫茶店で、美味しいお茶を飲みながら、紺碧の色をした地中海と真っ青な空を眺めていたら、すっかり海が好きになりました。

 それはさておき、わたしが30代の頃、夏の休暇で富士河口湖町に2週間、滞在したことがあります。そこでの思い出は、何といっても目の前に聳える富士山を毎日眺めて過ごすことでした。

 ある時、ここにいれば、富士山に登るしかないだろうと考え、計3回登りました。その当時は、まだ頂上に測候所がありました。3回登ったうちの特に思い出深い体験をお話ししたいと思います。

 当時、富士山の5合目には、宿屋もありましたが、大澤という、昔の噴火で陥没した跡の近くに"峠の小屋"という休憩所があり、軽い食べ物や飲み物を売っていました。お昼頃、友人と2人で休息していましたが、外に出ると、頂上が目の前に迫って見えました。

 そこで、何の分別もなく、そのまま登って行ったら頂上に着くように感じました。それで友人を誘い、普通の恰好のままで登りはじめました。むろん道のない、火山灰の固まった岩や砂があるだけで、登りにくいです。それに午後になると、雲が現れて頂上を覆うので、前も見えません。下山しようと振り向いても、8合目くらいまで登ったので、急な絶壁に感じられ、怖くてこれでは上に登るしかないと頑張って、とうとう3時間で頂上に辿り着きました。頂上からの絶景はワンダフルでした。

 途中、怖かった時には、「神さま助けてください」と祈りつつ登り、助かりました。