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親と子ども

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

 いつの時代も親子の関りは大切であり、それだけに、問題も山積しています。何も、親と子だけの問題ではなく、そこに、周りのいろいろな出来事、人も絡まってきます。

 いちばんの問題は「子育て」の時代です。最近では、子育て放棄の親御さんのニュースが報道されます。「子育て」が大変な「重労働」であることは確かです。

それだけに、達成した時には充実感も大きいのではないでしょうか。

 かつて、多湖輝氏が「叱らない叱り方」について言及されたことがありました。言うまでもなく、「叱る」という目的は、相手の態度や言動を改めさせ、叱り手の望むような形に変えることにあります。とは言っても、叱り手のわがままではありません。

 例えば、親と子どもが約束を交わします。親が子どもに「ゲームは30分にしよう」と提案し、両者が納得して約束をします。ところが、時には、お母さんがいなくなると「どうせわからないから」とゲームの誘惑に負けてしまうことがありえます。

 この時、親がどのように対応するかです。「約束を守れないならゲームは取り上げます」と言うのか、または、「ゲームは30分と約束したよね。これからは時間を守ってね。お母さんはあなたのことを信じているわ」と微笑みながら言うのか。

 子どもが親の叱責を受けて反省し、態度を変えるのは、親の自分に対する愛情を感じるからでしょう。いつも親の愛情を受けている子どもは、親の言動や態度に敏感になっていきます。

 こうして、本当の「しつけ」が実現されていくのではないかと思うんです。「叱らない叱り」によって、人はより人らしくなり、人々に貢献できる、豊かな大人になっていくのだと確信します。