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よろこび

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 昨年、日本を訪問された教皇フランシスコは、キリスト者であるかないかに関係なく、多くの人々に温かな印象を与えてくださいました。

 教皇様の多くのメッセージのテーマは「生きる力」、真の「よろこび」です。

 ルカ福音書は、聖霊によって喜びにあふれるイエスの姿を描いています。イエスは、「幼子のような者にお示しになる」神の御心をほめたたえ、喜びにあふれました。教皇様が私たちに伝える喜びも、このイエスの喜びにつながっています。

 新約聖書は、イエスの宣教活動を記しています。活動のはじめこそ、多くの人々がイエスをもてはやし、受け入れましたが、やがて、多くの人々が、イエスの生き方、言葉や教えにつまずき、イエスから離れていきました。それどころか、敵対し、批判する人々も多かったのです。

 しかし、律法を守れず、罪人というレッテルを貼られ、社会の片隅に追いやられた人々は、イエスを、生きる力や希望を与えてくださる真の「救い主」として受け入れました。それに対して、イエスを批判し、十字架まで追いやった人々は、自分の利益や名誉、社会的地位や富を守り、築くことを望む人々でした。彼らは、しばしば自分の立場や偽善的行為を「自分の正しさ」と思い込んでいました。しかし、イエスは、罪人であることを自覚し、神のいつくしみに身をゆだねることしかできない、幼子のような人々こそ、神様が一人ひとりの存在を根底から愛され、ゆるされていることを示す存在であると、御父をほめたたえたのです。

 教皇フランシスコも、すべての人々が、例外なく神に愛されていることに気付き、「喜び」をもって豊かな人生を送るようにと励ましておられるのです。