「春眠暁を覚えず」と言いますが、私はこの頃、よく目覚ましのベルにも気づかず、寝過ごしてしまいます。はっと目覚めて雨戸を繰ると、明るい陽光が既に燦々と輝いています。日の出もずいぶん早くなりました。
ひと雨毎に乾いた空気が湿気を帯びて、 私の小さな庭にも春の気配が満ちています。つい先日、満開の梅の木に鴬が2羽飛び交うのを見て、そっと見入っていると、一声、
「ホーホケキョ」と鳴いたので大感激。確かに春の訪れを感じた瞬間でした。
近くの公園の冬枯れていた里山も、池を回って遠くから眺めると、急にうっすらと色付いています。樹木の根が柔らかくなった土から水分を吸い上げて幹や枝先にまで送り始めたので、里山全体がふわっと生気づいて見えるのでしょうか。もうすぐ一斉に芽吹く様々な緑の濃淡が今から楽しみです。
耳を澄ますと、小鳥たちのさえずりも賑やかになっています。巣作りの準備がはじまったのでしよう。やがて卵を産み、命を繋いでゆくのです。
自然のまま残されたこの里山の再生の希望が充満している早春のたたずまいは、たまらなく魅力的です。
里山を蘇らせる春の息吹は、同じ自然の仲間である私たち人間にも分け隔てなく吹き込まれます。このいのちの源から降り注ぐ祝福の光を受けると、私たちも里山の樹木や小鳥たちのように新しい力を与えられ、身心共にリフレッシュされるのではないでしょうか。
春は世の中の仕組みも新たになる時です。子どもたちは学年も上り、更に社会へと巣立つ季節です。別れや不安もありますが、新たな出会が待っています。新しいいのちの祝福を豊かに受けて、感謝の心を忘れず、何事もプラス思考で受け止めて、新しい一歩を踏み出してほしいものです。