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歓迎する

服部 剛

今日の心の糧イメージ

 私が妻に日々支えられていることにはたびたび触れてきましたが、あるとき、妻に恩返しをするチャンスがやってきました。

 福岡県に住むご高齢の神父様が、都内で『価値観の明確化』というテーマで3日間にわたって講義を行うことになり、以前から神父様にお世話になっていた妻は、出席することを決めました。

 7歳になる息子が通う特別支援学校は夏休み。妻に代わって息子の食事やお風呂の介助をしたり、音楽を聴きながら手遊びをしたり、寝る前には絵本を読んだりと、息子とかかわる時間が増えて、小さな成長に気づきました。絵本の言葉に反応してケタケタ笑い、次のページが見たくて自分でめくることができるなど、ささやかな歓びを実感しました。

 息子が寝息を立てた後、妻が講義のノートを見せてくれました。

 「自分という存在を肯定することの大切さ」 「ポジティブな言葉を使う習慣をつけることで本当の自分が輝く」などと書いてあり、晩御飯を食べながら、その内容を夫婦で分かち合いました。

 最終日、講義のあった部屋で捧げられたミサに、私と息子も与りました。祈る間、この数日、息子の世話や家事をがんばった自分の姿を思い浮かべ、夫婦で支え合うことの大切さを学びました。

 ミサの間、「あー、うー」と声を出す息子に、神父様が慈しみのまなざしを注ぐと、隣の人と手をつなぐよう促され、皆で輪を作り、祈りの言葉を歌いました。私たち夫婦の間にちょこんと座る息子に温かな目線が集まり、息子の命そのものを歓迎していただいたようで、とても癒されました。そして、人の助けが必要な息子と共にいる日々を、改めて自分の心に迎え入れて歩もうーーという思いが湧いてくるのでした。