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共にある

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 私は、東日本大震災が起こった年のクリスマスに、被災地支援のために初めて訪れた、宮城県北部の小さなカトリック教会で聖夜の御ミサに与りました。小さな聖堂には、信者でない多くの人々も集まり、共にキリストの御降誕を祝いました。御ミサの間、しんしんと降り出した雪が積もり、とても寒い夜でしたが、初めて出会った人々と一緒に、素朴な人々の間にお生まれになる幼子イエスの御降誕の意味を、真に味わった、素晴らしいホワイトクリスマスでした。御ミサの後、地元の信者さんたちは「クリスマスに、こんなに大勢の人々が来られたのは初めて...」と喜ばれ、お茶菓子等を配って、温かくもてなしてくださいました。

 被災地に訪れていたボランティアの人々は、4回目、5回目というリピーターの人たちが多く、中でも、青年たちが生き生きと働く姿が印象的で、大きな力と希望をもらいました。ごく普通の大学生たちが、被災者の方々と出会って、自分の存在や働きを心底から感謝され、他人の役に立てる喜びを、また、復興への希望を熱く分かち合ってくれました。彼らは、ボランティアとしての働きを通して、被災者の方々とボランティア同士が「共にあり」、同じ目的をもって「生きる」意味を味わっているのだと実感しました。

 私は、彼らの生き生きとした姿を通して、彼らの心と生き方の中に、「共にいる」と約束してくださる主キリストを思い起こしました。

 主は、被災者の一人ひとりの痛みに心を動かし、共に泣き、人々の善意と真心を励まし、「一緒に生きていこう」と、これまでも、今も、これからも、一人ひとりの存在を支え、共に歩み続けてくださっていると確信しています。