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たえず一歩前に

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 新年にあたり、「たえず一歩前に」というテーマを頂きました。

 昔から「一年の計は元旦にあり」と言われています。自分に関する将来の計画というのは大切です。なぜなら、人は自分の立てた計画にしたがって、生活していくからです。

 今回の「たえず一歩前に」というテーマは、何を意味するのかしばし悩みました。他者を押しのけて前に出ようとすることでもないでしょうし、むろん出しゃばることでもないでしょう。絶えず前進していこうとする覚悟だと解釈すれば、良いのかもしれません。

 人生の目的は、人が心理的にも、精神的にも、スピリチュアルな面でも、絶えず成長していくことだと、かつて某大学の人間学という授業で教えたことがありますが、その成長の法則というのは、らせん状を描いて上昇するのではないでしょうか。

 昔、大学で習った「正反合」という弁証法の法則といっても良いかもしれません。努力とは、一歩踏み出すことと、それを交互に継続していくことです。

 山登りの経験が、それによく似ています。わたしの経験からも、富士山の頂上を目指すならば、足元を一歩一歩進めるしかないのです。

 英語でステップ・バイ・ステップという言葉どおりです。前進するためには、まず前進するぞ、という意志がなければなりません。次に足を進めていくことです。これを努力といってもいいでしょう。前進していくと、必ずいろいろな障害に直面します。それに負けず、希望と忍耐をもって、一歩踏み出してゆくとき、輝かしい目的地が開けてきます。

 好きな禅の言葉があります。「百尺竿頭に一歩を進む」で、絶えず一歩前にの意味です。