クリスマスのメッセージ

黒岩 英臣

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 今年の夏は、命に関わる暑さだとか、ためらわずにクーラーの電源を入れて下さいなど、初めて聞くような警告が毎日のように放送されました。まさに、異常だったという外ありません。

 今年の秋、私はメンデルスゾーン作曲の"エリヤ"を指揮しました。主なる神への信仰に踏みとどまれなかったイスラエルが、バアルの神にひれ伏したので、主はエリヤを通じて数年にわたる大干ばつを預言させ、実際、地の表は干上がってしまうのです。そこでバアルの預言者たちは必死でバアルに呼びかけますが、空しく、一方、エリヤが主に懇願したところ、雲が沸き上がり、豪雨が一帯を潤したとの一種の決闘のような物語です。参(列王記上 17章~19章と 下2章)

 これを現代の私達を取り巻く、地球環境そのものが異常な、自然との関係を考えてみると、少なくとも一昔前までは、私達にとって自然とは、もっと親しめる、美しい、そよ風の吹くような牧歌的なものであったと思います。

 それが今は、惨憺たる面を見せるようになったわけです。

 私は昔、修道生活を送っていたころ、神様が段々とらえられなくなってゆく、見えなくなってゆく、感じられなくなってゆく暗闇、"暗夜"を経験しました。今、人が地球上で経験している初めての体験も、暗夜の一種だと私は思います。

 取り巻く環境が神を想像しにくい程異常だからといって、神がおられないのではありません。

 そして、神を見出すのが最も難しいのは、神の子であるイエスキリストが、ベツレヘムの貧しい馬小屋でお生まれになったことです。

 今年もまた、ひ弱な幼児として、イエスは私達のもとへ、すべての人々に愛と希望、そして、救いのメッセージを伝えるために訪れてくださるのです。

クリスマスのメッセージ

シスター 山本 久美子

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 聖書には、この世界の最初のクリスマスである、イエス・キリストの誕生について記されています。そして、2000年以上前のこの出来事を「クリスマス」と呼び、今も、世界中の人々が祝っているのです。

 しかし、クリスマスが何の日なのかについてのあるアンケート統計で、現代の多くの人々は、正しく理解していないということが表されました。

 本来「クリスマス」は、どのような意味があるのでしょうか。

 聖書の「クリスマス」は、お祭り騒ぎやパーティーのことではありません。たった一人の赤ちゃんの誕生という、ありふれた出来事でした。その両親は、つつましい大工職人のヨゼフと、マリアという若い乙女で、聖書は、この赤ん坊の誕生に先立って、この二人が、神から遣わされた天使を通して使命が与えられ、それに応え、受け入れていく過程が描かれています。「クリスマス」は、この素朴で無名の二人から始まったとも言えます。

 ヨゼフとマリアが自分の使命を心から受け入れたことで、神の子の「いのち」がこの地上に誕生したのです。

 これは、時間や空間を超えて、一人ひとりの人間に対する神からの大きなメッセージです。一人ひとりが、神様のいのちのご計画に与り、その招きに協力することで、神のいのちが人から人へと広がり、つながっていくということなのです。

 このメッセージを伝えたくて、イエスは、この地上に誕生されました。「クリスマス」は、幸せにお祝いできる人々だけの祝日ではありません。いつもそのかげで、一人ぼっちで過ごす寂しい人々にも、イエスは、「いのち」のつながりをもたらすために生まれて来られました。それが、「クリスマス」なのです。


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