クリスマスのメッセージ

松浦 信行 神父

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 あるとき、教会の若者を連れて、身体障がい者の施設に泊まりで訪問したことがあります。若者同士はすぐに親しくなり、施設の若者の世話をし、語り合い、歌い合いました。

 そして、せっかく訪問したのだから、同じ若者だからと、室内野球の試合をすることになりました。そして、どうしたら楽しい試合ができるだろうかと考えた結果、教会の若者の方はハンディとしてボールを打ったら膝をついて1塁まで行くこと、守るときも常に膝をついていることを決め、試合が始まりました。

 初めは、教会の若者が守ります。ところが施設の若者は、ボールを打ったとき、這い這いをしながら一生懸命1塁に行くのです。すると、守っていた一人の教会の若者は、急に這い這いをしながら守りに入りました。そして瞬く間に、教会の若者全員が這い這いをし始めたのです。その後、試合は親善試合的な雰囲気から本気モードになり、点を取りつ取られつ白熱し、1点差で教会の若者は負けてしまいました。

 試合後、教会の若者はこう施設の若者に話しかけました。「今日は、初めて這い這いしたから負けました。次に来たときは、しっかり這い這いをマスターするので、勝ちますよ。悔しいなあ」それに答えて「また来てくださいね。次も私たちが勝ちますから。」と、お互いにニコニコ顔で話していたのです。

 私はその光景を見て、一人の若者の行動はすごいなあと感じました。同じ条件でないと、真剣勝負はできないことを感じ、すぐにそれを実践し、互いに力の限り戦い、充実した時間を過ごせることになっていったからです。

 ここに、クリスマスの意味、神が人間と同じ姿を取られたことの意味を感じ取ったのでした。

クリスマスのメッセージ

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 キリストは、いつ生まれたのか。12月25日がキリスト誕生の祭日とされていますが、聖書には、キリストの誕生日を特定する記述は、なにもありません。また、この日を祝うことについても、なにも述べていません。

 キリストの誕生を祝うことになったのは、神の掟や聖書に基づいたものと考えがちですが、実はそうではなく、キリスト教徒が異教徒の信仰や信じる心、礼拝の仕方を取り入れ、その典礼研究を深めるうちに、教会はイエス・キリストの誕生日を設定する必要があると考えたからで、12月25日と定めました。この日に定めた理由は、教会の指導者たちが、この日から日の出が早くなり始める希望に満ちた日、冬至、12月22日頃の冬至を異教徒たちが祝っているのにヒントを得たことによるとされています。

 初代教会、ローマ人たちは、12月中旬になると、ローソクに火を点し、クリスマス・プレゼントの交換や宴会で、クリスマス前に大いに盛り上げ、祝い、神のご加護と悪魔からの救済を祈りました。

 この間、仕事はもちろん休み。各家庭では、クリスマス・ツリーを飾り、こぞって喜びのうちに、まず冬至を迎え、クリスマスを待ち望みました。その喜びは、今も昔も変わらず、全く同じ。キリスト教徒は、今も、初代教会、ローマ人と同じ大きな喜びをもってクリスマスを祝うとともに、この喜びをより多くの人々と分かち合いたいと願っています。

 ついては、次の聖書の一節を心に留めたいと思います。

 「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、心にかなう人々に平和があるように」(ルカ 2・14)

 希望に満ちたクリスマス・シーズン、キリスト誕生の喜びを連呼すべきときであります。


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