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クリスマスのメッセージ

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 2年前のことです。「神奈川新聞」にヘイトスピーチ中止、という見出しの記事が載りました。

 6月5日の午前11時半から在日コリアンに向けてヘイトスピーチが予定されていました。主催者の男性はこれまでに川崎駅前で11回、在日コリアンが多く住む地域で2回、ひどい言葉を浴びせてきました。

 諸外国では他者への憎しみをあおるヘイトスピーチは罰則を伴う犯罪ですが、日本の「ヘイトスピーチ対策法」はできたばかりで罰則もまだありません。しかし、差別に反対する意志を示そうと神奈川県内外から1000人規模の人が集まり、車道に身を横たえたり、座り込みをしたりして反対したのです。神奈川県警も市民を擁護しました。男性は10メートル進んだだけで中止すると自ら言いました。全国で初めてのケースです。

 さらに、40代の在日コリアンの女性が素晴らしい行動をおこしました。夫や子供の前で過去13回もひどい言葉を浴び、傷つきながらもこの男性に手紙を渡したのです。

 「私たち、加害、被害の関係から今この時を共に生きる人間同士として出会いなおしませんか。(中略)差別をやめてもらえれば、共に生きる準備はできています」と。

 その直後の「デモ中止」というアナウンスに女性は息子さんと抱き合って泣きました。

 この方がクリスチャンかどうかわかりません。しかし、なんという愛のある人でしょう。

 神さまは、2000年前に私たちと共に住むために人となられ、地上に来られました。それは、傷つけた人を許し、互いに愛し合うことを教えてくださるためです。

 私たちは神さまとお付き合いし、一緒に生きることで愛しあうことができるよ、というのが神さまのメッセージ、クリスマスのメッセージなのです。