クリスマスのメッセージ

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 今からおよそ2000年前、ユダヤのベツレヘムという小さな街でイエスはお生まれになりました。

 聖書は「宿屋には彼らの泊まる場所がなかった」と伝えています。(ルカ2・7)人々からの善意や、もてなしの心を受けることなく、イエスは生まれました。その生涯の初めから、人間扱いをされませんでした。それは、世界中の孤独な人たち、また拒絶された人たち、そして、人間扱いされていない人たちの友となるためでした。

 イエスはお城やお屋敷で生まれることなく、飼い葉桶の中に寝かされました。それは、誰でも気兼ねなくイエスの元を訪ねることができるように、すべての人、特に身分や財産に頼ることができない人たちの友となるためでした。

 イエスは幼子の姿でこの世にお生まれになりました。それは、幼子の笑顔を誰もが素直に受け入れるように、すべての人が素直な心でイエスを受け入れることができるようになるためでした。

 イエスは生後すぐに、羊飼いたちに会いました。それは、イエスの存在そのものが、すべての人のために捧げられることを示していました。

 そして、イエスは両親と共にヘロデの迫害を逃れて、エジプトへと向かわねばなりませんでした。それは、国を追われたすべての人異国で過ごしているすべての人の友となるためでした。

 イエスは人間の歴史のまっただ中に生まれました。それは、人間の歴史すべてに神さまの救いが及ぶことを示していました。

 イエスは人間としてこの世に生まれました。

 それは、神さまの愛の交わりの中に、イエスを通して、人類すべてを招くためでした。

 特にこのクリスマスを祝う季節に、幼子イエスは、私たち一人一人にも微笑みかけています。私たちの友となるために。

クリスマスのメッセージ

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 クリスマスが近づくと、クリスマスについて何も知らない人たちも、なぜか優しい気持ちになってプレゼントを交換したり、子ども達もサンタさんのプレゼントを指折り数えて待っています。今やクリスマスは国や人種、宗教を越えて人々に親しく祝われています。

 なぜでしょう?それはクリスマスに生まれた幼子は神の人類への究極の愛の贈り物だからではないでしょうか。

 その夜、天使の大群が現れて「天には神に栄光あれ。地には善意の人に平和あれ」」と大合唱してその幼子の誕生を祝福したと聖書にあります。(ルカ2・14)

 その幼子が成長し、神を「天の父」と呼んで、「私たちは父なる神に無条件に愛された兄弟姉妹です。だから神を敬い、互いに愛し合いなさい。」と説きました。イエス・キリストの30年余りの短い生涯は、この神の無条件の愛を説き、その愛を実践する日々でした。見捨てられた病人や障害者を癒し、嫌われ者の徴税人や娼婦に愛の言葉をかけて彼らの人生を聖なるものに変え、最後は十字架上で命まで捧げました。そして3日目に復活し、神と人との仲介者として今も愛の内に私たちと共に働いておられます。

 キリストの目に見える形の後継者、つまり初代教皇となったペトロから代々続く教皇たちは、時代の要請をキリストの愛と真理に照らして愛の宣教を継承しています。

 フランチェスコ教皇は「愛と平和と喜びの聖人」と慕われるアシジの聖フランチェスコを教皇名として「差別・対立から調和・融合へ。違いは豊かさの現れ。尊重しあい、助けあおう。」と世界に呼び掛けておられます。

 神も人の善意も無視して弱者を差別する現代社会に、キリストの愛と真理に基づいた時宜を得たメッセージです。


前の2件 3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13