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クリスマスのメッセージ

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

 私は洗礼を受ける前から、いつも不思議に想っていることがありました。それは「宇宙の創造主と言われている神様が何故、わざわざ地球という星にキリストという人間の姿で誕生したのか」という素朴な疑問です。

 宇宙と地球の誕生についての天文学の名作は多数ありますが、この私の疑問に答えてくれる本に遭遇したことはありません。この疑問は、理屈や論理の世界ではなく、どうも信仰の世界の問題なのかもしれません。

 私が大学生の頃、この疑問を、学生食堂でカレーライスを頂きながら、ぶつぶつ言いますと、学友は「フーン」と鼻先で笑います。数十年後のクラス会でも同じような話題を出すと「永遠のテーマだね」と相手にしてくれません。

 洗礼を受ける前、ドイツの神父さんが高校生の私に「君の疑問は生涯解決しないよ、理屈で全知全能の神様とキリスト様の関係を理解しようとしても無理、三位一体論といってね、これは難しい問題なんだ」と話されました。

 まじめな青春時代を送ってこなかった私が、どうしても気になるのが、天国にいけるかなあ、ということでした。

 その後、海外の大学で宗教心理学に基づく心理療法の勉強をしていくうちに「信じて見えてくるもの、見えなくなるもの」という研究分野に気づきます。信仰の世界の始まりです。信じると「三位一体の世界」が見え始め、その微妙な神の世界を感じだしたのです。実に楽しい世界です。深刻でもあり楽しくもあり、スリルとサスペンスに富んだ世界です。

 クリスマスが来るたびに私はこのドイツの神父さんとの「何故、宇宙の創造主が人間キリスト様として誕生したのか」という問答が思い出され、神様からのクリスマスメッセージとして私の心に響いてくるのが不思議です。