私が暮らす函館郊外大沼は、9月が夏の盛りです。樹々は葉をめいっぱい茂らせ、草も1日毎に伸びています。その草を食べた羊たちは、出産で痩せた体に栄養を蓄え、みるみる太ってきました。例年と同じ夏の風景です。
毎年そんな風景を見ていたのですが、平成30年9月に起きた、北海道胆振東部地震には驚かされました。夜中に携帯電話の警報音で飛び起きましたが、幸いなことに我が家にも飼育している羊たちにも被害がなく無事でした。ところが1時間後に、パチッという音と共に停電になり、その停電が2日も続くことになるとは予想もしませんでした。食事も不自由になり、入浴もできなくなりました。携帯電話の充電がなくなりそうで、子供たちにも無事だったと伝えられませんでした。
私はほかにも地震の恐怖を味わったことがあります。
家族で10年ほど暮らした神戸でのことです。転勤で横浜へ転居した2年後、阪神淡路大震災が起こりました。我が家によく遊びにきてくれた友人のFさんが亡くなりました。Mさん、Hさんは家からかろうじて脱出できましたが、自宅は倒壊してしまいました。
震災から2年ほどして、家族と共に神戸を訪れました。私たちが暮らしていた4階建てのマンションは1階部分がつぶれ、3階建てになっていました。1階に在った豆腐屋さん、はんこ屋さんは無事だったのでしょうか。毎日お買い物に通った市場も全部壊されて更地になっていました。
新しい元号になりました。私は新元号での時代が平和であることを祈っています。戦争がないだけではなく、自然災害のない時代であったらと思います。
私が抱く平和とは、昨日と同じ今日が、今日と同じ明日が来ることを確信できることだと思うからです。