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わたしが抱く平和

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 私たちにとって平和とはどの様なものでしょう。私たちの周りに平和の象徴、シンボルはどんなものがあるでしょう。簡単に思い浮かぶものとしてハトやオリーブ、指のVサイン、ピースサインなどもありますね。この他にも沢山あるでしょうね。

 ハトやオリーブは、旧約聖書のノアの箱舟の物語で、地上が大水で滅ぼしつくされた後、水が引いたかを確かめるため、ハトが放され、オリーブの葉をくわえて戻ってきたことから、平和のシンボルとして捉えられる様になった様です。

 さて今わたしが抱く平和とはどの様なものか、少し考えてみました。私自身は戦争を体験したことはありませんが、この世界には多くの戦争があること、あったことを知っています。母からは東京の大空襲の悲惨な有様、体験をよく聞かされたことを思い出しました。

 また海外に行った折、ボスニアのモスタルの街では民族の争いの傷跡、北アイルランドのデリーやベルファストの街では、キリスト教の宗派間での争いの傷跡を見たりしました。主な宗派の勝利を祝うイベントがある時には、他宗派の人は街に近づかない方が良いため、何キロも離れた所からその様子を見たこともありましたし、別宗派の人は嫌いという声を熱心な信徒の方から聞いたこともありました。

 そんな体験から考えると、平和とは、表面的に戦争や争いがないだけではなく、お互いの深い平和、心からの平和なのでしょうね。そのためには互いの和解、赦し合いが必要です。和解、赦し、私たちが身近なところから始めてゆくことによって、その輪が大きく広がり、この世界が神のうちに平和になってゆくのでしょう。

 私たちがお互いを大切な存在としてともに歩んでゆくことができます様に。