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わたしの今の役割

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 教会や老人ホームなどで、朝のミサをすることからわたしの一日が始まる。老人ホームはもちろん、教会であっても参加者はご高齢の方が多い。朝食をとって、次は幼稚園で子どもたちに「神さまのおはなし」だ。絵本や紙芝居を読み聞かせたり、趣味で撮っている花や鳥の写真を見せて、神さまの恵みの素晴らしさを話したりする。幼稚園で子どもたちと給食を食べ、午後からは車で山の中の刑務所に行く。受刑者の皆さんに、刑務所での生活の心の糧になるような話をするためだ。わたしの毎日を、おおざっぱに要約するならこんな感じになる。

 話の素材や切り口はさまざまだが、どこでも伝えたいことはただ一つ。それは、わたしたちは誰もが、神さまから愛されて生まれてきたかけがえのない命。いなくてもいい人など一人もいない、ということだ。子どもも大人も、男も女も、罪を犯して反省している人も、自分は正しいと思い込んで威張っている人も、どんな人でも、日々の生活の中で、ふと自分の存在に不安を感じることがあるだろう。「あなたはかけがえのない命。たとえ失敗ばかりでも、あなたが精いっぱい生きているというだけで、神さまはうれしくて仕方がない」というメッセージを、すべての人が待ち望んでいる。そう信じて、わたしはどこでも同じことを伝え続けている。

 その使命を果たすために何より大切なのは、まず自分自身が、自分の命の尊さを信じていること。与えられた命を神さまに感謝し、喜んで生きていることだろう。よい知らせが真実であるかどうかは、その人からあふれ出す喜びによって証しされる。与えられた使命を果たすために、どんなときでも自分の命の尊さを見失わないようにしたい。