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母のぬくもり

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

 カトリック教会では、5月を聖母月として、ロザリオの祈りをとなえます。

 ロザリオとは、聖母マリアに捧げる「アヴェ・マリアの祈り」を繰り返し唱える際に用いる数珠状の祈りの用具、およびその祈りのことです。

 伝統的に多くの聖人たちに愛され、歴代の教皇たちによって奨励されてきました。

 ロザリオという名称は、ラテン語の rosarium に由来するもので、「バラの冠」という意味があります。一般的な説では、珠を繰りながら唱える祈り方が、バラの花輪を編むようなかたちになるからだと言われています。

 私はまだ洗礼を受けていなかった学生の頃から、信者の友人に誘われて、一緒に教会や巡礼地などにとなえに行ったものです。信者になってからは、私も他の友人を誘ってロザリオをとなえに行くようになりました。

 長崎市のカトリック系の小中学校に勤めるようになってからは、毎年5月の学校の行事として、クラスの子ども全員を連れて、近くの教会のルルドまでとなえに行ったものです。

 ロザリオの言葉は素朴で、繰り返しが多く、子どもでも容易に祈ることができるのも良いことです。それゆえ、家族や友人たちと一緒にとなえることもでき、一致と信頼を強めるのにも役立ちます。

 祈るとき、福音書に記されているイエス・キリストの生涯のおもな出来事を黙想することもできます。

 イエスの生涯は「喜び」、「苦しみ」、「栄え」、「光」の4つの神秘にまとめられ、イエスのみ母マリアの心を通して、私たちをイエスとの生ける交わりへとあずからせます。

 そうして、私たちは聖母マリアのぬくもりを感じながら、神と親しく生きることができるようになるのです。