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ホッとするとき

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 人生には、やるべき事が山積しています。毎日、毎日、そのやるべき事を成し遂げるため、それぞれ、粉骨砕身、多大の努力を積み重ねていかねばなりません。賞賛すべき事ですが、極めて強固な意志と忍耐力が要求されます。強固な意志と忍耐力、この二つの力で、着実、堅実に、ひとつひとつ難関を克服してこそ、究極の目標が達成されます。たゆまぬ努力のあと、遂に目標を達成できた時には、ホッと一息、その喜びは、筆舌に尽くしがたいものがあるに違いありません。その達成に苦労が多ければ多いほど、その喜びは大きく、心の底から達成感、満足感を実感することができます。この実感は実に尊く、それを満喫してこそ、人生に生きがいがあると言えます。この人生の生きがいである、達成感、満足感を醸し出せる生活を、日々送りたいものであります。

 ところで、日常の生活で、「ホッとするとき」とは、どんなときでしょうか。多くのサラリーマンにとって、朝起きて、仕事に出掛ける前の緊張感は、だれしも同じです。ことさら、朝寝坊にとっては、まさに"緊急事態"を迎えることになってしまいます。朝食もそこそこに、駅に駆けつけ、いつもの通勤電車やバスに間に合ったところで、その日、最初の「ホッと一安心」を体験するということになるかもしれません。一方、それから、およそ八時間後、一日の仕事を無事終え、帰宅の途につくときも、まさしく「ホッとするとき」の典型であります。そして、我が家にたどり着き、一家団欒の夕食をするときも、これまた「ホッとした」気分にひたれる幸せのひととき、誠に貴重であります。いずれの家庭においても、このひとときをなにより大切にしたいものであります。