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ホッとするとき

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 日常生活で「ホッとするとき」といえば、大抵、仕事や用事が終わって、わが家に落ち着く時ではないでしょうか。わたしたち人間は社会的動物ですから、家庭や学校や職場や社会など、いわゆる集団との関係の中でのみ生きることや活動することができます。孤立した生活には耐えられません。

 しかし、集団の中や人間関係の中に、どっぷりつかっていると、ストレスが溜まり、それが重なると病気になることもあります。人間というのは、一人ぽっちでは生きられませんが、終日大勢の人々に囲まれているのも疲れます。さて、そういう時にはどうすれば良いかは、一人ひとりが決めることです。他者の助言を参考にするのはよいでしょうが、自分の事は自分で決めることが大切です。

 わたし自身の場合はどうするかというと、わたしは修道者ですから、共同体の生活をしています。現在は、国籍も豊かで40数名が一緒に住んでいます。顔を合わせるのは、食堂か休憩室か聖堂です。集団生活ですから、神経を使いますが、適当にほかの会員と関わり、話したりはします。しかしそれは、快感を覚えるような楽しさではありません。やはり疲れます。ストレスが溜まるといっても、間違いないでしょう。そういう時、ホッとする場所は、やはり個室、すなわち自分自身の部屋です。部屋に帰り、好きな本を読み、適当にテレビを見、ラジオを聞くときが、ホッとしてくつろげる憩いの時です。それに加えて、わたしは神父でもありますから、説教や講座の準備をします。

 けれども正直に申し上げますと、静かに瞑想しているときが、至福の時間です。瞑想とは、神の前にただ静かに安らかに坐っていることです。