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時のしるし

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 日の長さや季節ごとに咲く花、生物の活動、木々の実り...と言った自然の変化から、私たちは、季節の流れの中で自然の景色が変わることを当たり前のことのように感じていますが、立ち止まって考えると不思議なことです。花々は、咲く時を知っているのでしょうか。

 昨年の秋に、日本を縦断した台風の影響で、多くの木々の葉が落ち、気温の高い日が続いたため、花芽の動きが活発化し、あちこちで季節外れの桜の花が咲いたそうです。「桜も時を間違えるのか」と、興味深く感じたと同時に、自然の摂理が脅かされている現実を実感する機会になりました。植物は、自ら開花する時を知っているわけではなく、創造主なる神がこの宇宙を創造され、それに伴って創られた、地球の被造物が生きるための自然の法則に従って生きているのです。

 ルカ福音書12章56節に、「今の時を見分けることを知らないのか」というイエスの言葉があります。台風や異常気象等の災害で自然の秩序が乱され、秋に桜が花をつけるように、私たちも神様の法則を無視するなら、とんでもない非常なことが起こり得るという警鐘を鳴らす言葉だと、私は思います。

 自然界で起こることは、すべて人間にも繋がっています。自然破壊が進む現代社会では、人間同士の連帯感や他者への思いやりの希薄化が進んでいます。人間だけではなく、多くの生き物が生活する地球を守り、それぞれがふさわしく生きていくことが求められているということです。

 私たち、一人ひとりが、「時のしるし」を読み取り、人間と地球・自然との調和や、人間関係のあり方に対する意識の転換へ呼びかけられているということではないでしょうか。