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わたしの支え

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 私の支えはこれ、と一つだけ挙げるのは、実は難しいことです。両親、家族、パートナー、友人、ボランティアの方やたまたま行き会ったときに助けてくださる方まで、さまざまな次元と時間軸で支えていただいていると感じることがたくさんあります。

 人間だけではありません。小鳥を飼っていたときには飼い主として彼らを護り、共に楽しく暮らすことが支えでしたし、日常生活の中では、仕事や音楽、執筆などの活動が支えとも言えます。

 また、物にも支えてもらっていると強く感じます。日常用品は言うに及ばず、パソコン、スマートフォン、地震警報装置、冷蔵庫、IHクッキングヒーター、テレビやラジオといった情報機器など、現代の生活はさまざまな「物」にも支えられています。

 私は家に帰ってきて、「おうちさん、待っててくれてありがとう」と口に出して言うことがあります。出かけたらいつ帰るかも分からない住人を、じっと黙って待っていてくれ、いつ帰っても同じように迎え入れ、休ませてくれる家は、私にとっての支えの一つです。

 人の支えになることが自分の支えということもあるでしょう。私は視力がないため、人に助けてもらう場面が多くなりがちですが、私が人様を助ける場面も、比率は少ないながらちゃんとあります。人々に感謝することは多くありますが、私が感謝されることもあるわけです。そんなときは、私も誰かの支えとなれたかも、と思うのです。

 支えという言葉は一方向に捕らえがちですが、本当の支えは有機的にベクトルが変わるものではないでしょうか。その意味で、私はたくさんの支えを与えられており、また私自身が支えの役割を担ってもいるのだと感じるのです。