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たえず1歩前に

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 自分がまだ若かった頃は、考えるよりも先に身体が動いていたように思います。あまり考えずに、とにかく動き出すので、時には空回りすることも多かったのだと思います。

 ところが、歳を重ねるにつれ、逆に慎重になりすぎて、なかなか1歩を踏み出せない自分に気付いています。さらに加えるならば、1歩を踏み出す代わりに、周りから1歩退いているのです。

 なかなか、たえず1歩前へと踏み出すことができないのが、正直なところです。今まで受けてきた数々の否定的な体験から、1歩を踏み出すのをためらってしまうのです。

 これと同じように、今までの失敗や、他人を傷付けてしまった体験から、尻込みをしてしまい、神さまの前に出ることを拒んでしまうこともあるのでしょう。神さまは、こんな私をゆるされるはずがない、こんな私を受け入れてはくださらない、と自分勝手に決めつけて、尻込みしてしまうのです。

 そんな頑なな私たちに対して、聖書は次のように告げます。「だから、憐れみを受け、恵みにあずかって、時宜にかなった助けをいただくために、大胆に恵みの座に近づこうではありませんか。」(ヘブライ4・16)

 私たちは、大胆に勇気を持って、神さまの前に、たえず1歩前へと歩み出すことができるのです。言い換えれば、自分の弱さや罪を自覚しつつも、それでも、神さまの前にたえず1歩前へと踏み出す勇気と大胆さを持って良いのだ、と聖書の言葉は、今日も私たちの背中を押してくれるのです。

 たえず1歩前へと踏み出す勇気と大胆さは、私たちに、いつでも新しいスタートが切れることを保証してくれます。「たえず1歩前に」これは、私たち自身を常に新たにし続けてくれる秘訣なのかもしれません。