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子どもの祈り

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 子どもの頃、運動会や遠足の前日になると、必ず「てるてる坊主」を作り、大声で一生懸命に歌いながら、次の日の良い天気を願ったことがありました。今から思うと、近所迷惑な子どもだったのですが、一生懸命大声で歌い続けていたのです。

 ところがどうやら、私は雨男のようで、なかなか「てるてる坊主」へのお願いは届きませんでした。いつしか「てるてる坊主」を作って歌うことはやめてしまいました。しかしながら、一生懸命心をこめてお願いしたことは記憶に残っています。

 子どもの祈りとは、真っ直ぐで、一生懸命なものだと私は思います。何の計算も思惑もなく、本当に素直なものです。たとえお願い事がかなわなくとも、子どもたちのお祈りの行為そのものが、とても大切なものだと私は思います。

 聖書はイエスと子どもたちの出会いを伝えています。(マルコ10・13〜15)

 イエスに触れていただくために、人びとが子どもたちを連れて来ます。ところが弟子たちはこの人々を叱ります。このような弟子たちの態度に対して、イエスは憤り、次のように語られます。「子どもたちを私のところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。」

 さらにイエスは続けられます。「はっきり言っておく。子どものように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」

 神さまに向かう子どもの祈りの奥底に流れているような素直さ、一生懸命さ、ひたむきさが何よりも大切なのだよ、とイエスは諭されます。

 そこには、自分を正当化しようとする思いや、自分の経験や地位で自らを飾り立てる態度はありません。ただ神さまの前に、素直にひたむきであることが求められているのです。