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子どもの祈り

小林 陽子

今日の心の糧イメージ

 「どうかあしたの朝のパンに、ジャムがたっぷりもらえますように」

 こんなかわいらしい祈りが、アンデルセンの童話に出てきますね。お月さまがこっそりのぞいた幼い男の子の、「ねる前のお祈り」の場面に。

 ある神父さまはひとり祈るときによく子供用の祈りを使うと言われたそうです。

 たしかに「子供の祈り」はシンプルでやさしく、短いので、どんなに眠くて疲れている時でも、「さあ晩の祈りをしなくては」と頑張らなくても自然体で祈れます。

 子供用の聖歌もおなじです。

 神さまをほめたたえて歌うことは祈ること。

 わたしも掃除や台所仕事などをしながら、♪ありがとう、神さまありがとう、しんこうのおめぐみを♪と、歌っていたりします。

 「天におられるわたしたちの父よ」は、「主の祈り」の冒頭の神さまへの呼びかけですけれど、子供たちはふだん、お父さんに「父よ」とは呼びかけませんね。

 聖書に出てくるイエスさまの父なる神さまへの呼びかけは「アッバ」です。これは、当時使われていたアラム語で「お父ちゃん」とか「父ちゃん」などの幼児語のニュアンスだといわれています。

 「お父ちゃん」って、100パーセント信頼のひびきがありますね。どんなに叱られても、「お父ちゃん、ごめんなさい。もうしません」と心からあやまるなら、両手をひろげてゆるしてくださる、抱きしめてくださる方。

 そう、神さまは、わたし達をゆるしたくてしかたがないのです。どんなことがあっても愛して愛して愛しぬいてくださる。

 子供の祈りをとなえるとき、わたし達はいっとき幼子にかえって神さまの広い胸に飛び込んでいけるのではないでしょうか。