しばらくして、学校で会った時に話しかけてみました。「どう?元気だった?少し休んでたようだから、ちょっと祈ったのよ」と。すると彼はこう言いました。「先生が祈ってくれた日の夜、風呂の中で本気で手首を切ろうとしたんだ。死にたいと思ったから。でも何度やろうとしても、どうしてもできなかった。先生の祈り、聞かれたよ」と。
私は心臓が凍りつくほど驚きました。祈ってよかった、と思ったのと同時に、人は他者の苦しみを自分の力ではキャッチできない、と思いました。私は彼と話していて、問題がそれほど深刻だとは感じとることが出来ませんでした。
私の心に「祈るように」、と強く勧めた方は、人ではなく神ご自身だったのです。
「先生の祈り聞かれたよ」という言葉はその後、何10回もたびたび思い出しました。
私はいま、他校で講師をしています。講師は授業が終わると帰るので普段の生徒の姿がわかりません。でも、気になることがあったら祈るようにしています。神さまが生徒を守ってくださるように委ねています。