しばらくして、ローマ皇帝アウグストゥスは、自分の全領土に人口調査を命じたため、マリアはヨセフとともにベツレヘムへと旅立つ。およそ120キロの旅だ。ベツレヘムに着くなり、マリアは産気づくが、どの宿屋も満員。馬小屋のみが空いていた。マリアは貧しい場所でイエスを産む。赤ん坊が生まれて幸せに包まれるのは束の間で、間もなく天使がヨセフの夢に現れ、「ヘロデ王が2歳以下の男の子を殺そうとしている」と告げられ、エジプトに逃避する。
マリアとヨセフの人生は、イエスの母、イエスの養父となることを承諾した時から、富や名誉などから遠ざかっていく。すべてこの世的なものは取り去られていくのだ。最後に残るのは何だろう?
愛そのものである幼な子イエス。
赤ん坊のイエスだけはわたしを見捨てない。おさな子イエスを、「抱っこしてもいいですよ」と、マリアとヨセフの穏やかな声を聴く思いがした。