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わたしのクリスマス

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 キリスト教とは無縁の家庭で育ったわたしにとってのクリスマスは、ただの外国の行事でした。子供の頃は、せいぜいサンタクロースというキャラクターが親しまれて、ケーキやお菓子の詰まった長靴をたまに買ってもらったというくらいで、何のお祝いかもはっきり知りませんでした。しかし、カトリック系の中学校に入学したことから、クリスマスの本当の意味を教えられ、「わたしのクリスマス」は少しずつ意味のある日にと変わっていきました。

 クリスマスは、救い主イエス・キリストの誕生を祝う日です。当日を祝うだけでなく、その日を迎えるために「待降節」という期間があり、心をこめて祈り、準備することも教わりました。誰かの誕生を心から待ち望む祈りの心、心静かに待降節のローソクに火をつけ、主イエスの誕生の場である「馬小屋」を飾り、キリスト誕生の聖劇の練習をし、いろいろなことを整えていく静かな喜びも初めて経験しました。

 中でも、待降節の間、クラスメートの誰かのために祈り、黙って何か心の贈り物をする実践を通して、主イエスがお生まれになったのは、他者の「愛」となるためだったと気付かされたのは、「目から鱗」のような体験でした。

 修道院では、共同体で、クリスマス・イヴまでの9日間、1年の間にお世話になった全ての恩人の方々を想い起こし、「ノヴェナ」と云われる特別の待降節の祈りを共に捧げて、クリスマスを祝います。クリスマスの修道院の雰囲気は特別です。

 クリスマス・ノヴェナの祈りで、1人ひとりの心に主イエスがお生まれになり、その愛で満たされますようにと願いながら、多くの人々とのつながりを味わう日となっています。