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分岐点

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

「神学校をやめようと思ったことはありませんでしたか」とは、よく聞かれる質問です。どうして質問なさるのかなと考えたことがあります。すると、その方も神学校にいて、司祭への道を志した方なのだということに気付かされたのでした。何人かいらっしゃいましたね。

御多分に漏れず、わたしも2度3度と退学しようと思ったことはあります。その時は、あれやこれやと思案に暮れてしまうのです。その時って、必ずと言っていいほどに、「楽なこと」や「自分好みの道」に関心が向いてしまいます。あれほど「今の道」に魅かれて進んできたのに、・・。

時間の経過とともに、人としての成長とともに、人の中の動機、情熱には変化が生まれ、生きるための分かれ道に遭遇してしまいます。誰もが1度は突き当たる体験ではないでしょうか。ただ、程度の違いがあるでしょうが、そこに優劣はありません。純不純もありません。自分で決めたことに引っ張られていくだけです。

しかし、この時がいちばん自分を意識し、一生懸命になっていたのではないかと思うのです。1度だけだとまだ不十分で曖昧なままです。だからこそ、2度3度と同じような状況に陥ります。その度に、自分自身が鍛錬されていったのではないでしょうか。そんな気がします。そして、自分の道を自信をもって選択できるようになったのではないかと。否、そうさせてくださった方がいるのです。

今年も、新しく社会人として歩き始めた方々がいらっしゃいます新しい環境に慣れた頃でしょうか。これまでとは違った自分をもっと知りうる絶好の機会でもあります。自問してみましょう。「これでいいの?」

さらなる前進のために。