そんなある日、事件が起こりました。我が家のその店に働きに来ていた近所の主婦の人に、私が大変な暴言を吐いたらしいのです。どんな暴言かは未だに私は思い出せないのですが・・。
その人は、カンカンに怒って「もうここでは働かない」と、すぐに辞めてしまったのです。それだけでも大変なことなのですが、その後、母がその人に対して、ひたすら謝っていたのです。そして、聞くところによりますと、どうもその人に母が借金をしていて、すぐに返せと言い寄られているようなのです。
私はそれを聞いて、私の暴言によって母親が窮地に立たされていることを知り、青くなりました。
ところが、その後、こっぴどく叱られると思っていた私に、母親は一言も苦言を言わずに、普段のように接してくれたのです。
この出来事が、私は両親から愛されている存在なのだという体験の原点となり、我が儘ばかりしていては生きていけないと悟る、転換点となったのです。