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まわり道をしても・・・

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

「まわり道」と考えた時、すぐに、自分のこれまでの日々は順風満帆だったと思えました。この反応は、自分にとっても意外でした。自分の内側では、それなりの葛藤や紆余曲折も多々ありましたが、それ以上に今までの人生に納得し、「まわり道」をも肯定して、受け入れている私がいることに気づきます。

中学生で、「シスターになりたい」という漠然とした夢を抱き、その夢に向かってひたすら歩んできました。10年後には修道会に入会し、その夢を実現させ、今も後悔はありません。途上では迷いや不安も一杯あります。しかし、神様の御前で決断した人生のこの大きな選択にブレや間違いがないと、私は確信しています。

入会後は、具体的な現実の中で、私はどのように神様と共に人々に奉仕していけるのかということが、常々識別の課題となっています。

1人の人間として、女性として、シスターとして、勉学の機会が与えられ、養成の機会をいただき、50代になった今も成長過程にあると心から感じています。私にとって、これから成熟期に向かう今の歩みが、「まわり道」なのかもしれません。

「まわり道」とは、人生の目標に向かう道が、ある道は直線で近道であるかもしれませんが、他の道は、長い遠回りのような道だということでしょう。道が違うだけで、無駄な時ではないと思います。目標に通じる道であれば、そこに神様からのそれぞれの招かれ方、導かれ方があるのだと信じています。

人生にまわり道があっても、異なった環境下でよりよい道を識別するため、山登りの途中で、地図を確かめ、深呼吸する時や景色を眺める時があるように、ゆっくりじっくり進むべき方向を見極める、そういう時なのだと、私は思います。