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自然とわたし

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

とても疲れて休んでいたい時に、どうしてもデパートに行かなければならないことがあった。

美しく並べられたケーキや贈答品、様々な物が極端に明るい照明に映し出されている。私は買い物が苦手な上に、用事を早く済ませようと焦っていたので、この日は何を見ても重苦しかった。

店内を歩いているとふと、呼び止められたように感じて足を止めた。その場所だけがスッと別の雰囲気の中にあった。重苦しさもピカピカした人工的な光もない。花屋だった。私は花に呼び止められたのだ。色とりどりのバラや小さな白い花が優しい香りを運んでいた。しばらく店の前に立ち止まって、花たちが私を呼び止めてくれたことに感謝しながら短い時を共にした。体からイライラした辛い気持ちがすーっと抜けていった。「ああ、やっぱり自然の力は素晴らしい」。そのフロアは人工的な物ばかりが置かれていた。ただ花だけが生きている「自然」だった。

また、ある日、夫とちょっとしたことでぶつかり、悲しい気持ちで部屋にいたときだった。飼い猫のチョピが静かに入ってきた。ふだんは決してひざに乗らない猫なのに、この時はひざに乗ってきた温かいチョピのお腹を触り、頭をなでていると、気持ちが落ち着いた。そしてどうしてぶつかったのか理由が分かった。「謝りに行こう」。素直な気持ちになれた。チョピは言葉が話せないが、私の気持ちをいつも感じてくれる。私もチョピの声を聞くと何を求めているかみんな分かる。

自然は神さまの温かさ、良さを運んでくる。私たちはいつも、神様が造ってくださった「自然」に包まれ、また、猫などの動物たちにも、支えられ、励まされている。