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自然とわたし

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

年に1度、南の島に出かけることが、毎年恒例の行事になりました。忙しい日常生活を抜け出して、自然の中にどっぷり浸かるという、私にとって貴重なひとときです。

朝は、自動車の騒音ではなく、鳥の声と波の音、太陽の光で目をさまします。日中は、ひなたぼっこを楽しみながら、のんびりと本を読み、海の中の鮮やかな色の魚たちを眺めます。そして、太陽が沈んでいくのを、時間を忘れて見入り、夜空に輝く星をしばし眺めます。

毎日の生活リズムでは、めったにしないことを、南の島で十分時間をかけて体験しながら、自分自身のリズムと気持ちを整えていきます。

大自然と向き合うと、おのずと自分自身や毎日の生活にも向き合うことになります。普段、気が付かなかった生活や行動のゆがみに気付くこともあります。忘れかけていた大切な事柄に気付かされることもあります。ゆったりとした時間の流れの中で、自然が私に語りかけてくれているのかもしれません。

自然は、時にやさしく、時にけわしく私と関わってくれます。自然の美しさは、私の心を癒し、穏やかにしてくれます。自然の厳しさは、自分自身の存在の小ささを突き付けてくれます。

聖書によると、イエスさまご自身も、人里離れて自然と向き合い、祈りのひと時を過ごされていたようです。何かをお決めになる時や、新しい使命に向かわれる時など、人里離れた場所で祈っておられました。

自然と向き合うこととは、究極的には大自然との一体感を感じることなのではないか、と思います。大自然のリズムが自分自身のリズムとなり、自分の中に脈々と流れる大自然の大きな命に触れることなのかもしれません。これが神ご自身に触れることなのかもしれません。