2018年09月14日の心の糧


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自然とわたし

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ 最近、子どもの頃の夢をよく見ます。神社の境内で椎の実を拾ったり、桑の実を摘んで食べたりと。この間は、海岸で岩に付いた天然の牡蛎を海水で洗って食べていたら、大波が来てびしょ濡れになってしまい、そこで「わっ」と目が覚めました。

友だちと遊びながら何かを食べている夢が多いのは、戦中戦後の食べ物がろくにない時代でしたので、いつもお腹をすかせていていたからでしょう。椎の実や桑の実はおやつがわりでした。

 

夢から覚めて、すっかり忘れていた当時のこと、一緒に遊んだお菓子屋のAちゃんや日本舞踊が上手だったYちゃんのことなどが懐かしく思い出されます。とにかく毎日外で友だちと暗くなるまで遊んでいました。

夕暮れになると、庭の月見草の蕾が、まるで硬く巻いた傘がパラリ、パラリと回りながら開くように次々と咲くのを歓声を上げながら飽きず眺めていました。また、ある夜は、蛍を篭に一杯採って家に持ち帰り、座敷に吊った蚊帳の中に放したら、50匹ほどの蛍が青白い光を点滅させながら、ゆらーり、ゆらーりと飛び交う様が何とも美しくて、長年寝たきりの伯母が涙を流して喜んだこともありました。

自然豊かな田舎町で、木や草花や昆虫などと一緒になって遊び暮らした子ども時代のことが、傘寿を超えた私に夢となって出てくるのを、面白くまた懐かしく思います。俗に『本卦還り』と言われるように、歳を取ると子どもに返り、その人の本性がでるからでしょうか。

子どもの頃に自然から与えられた喜びや感動の体験は、私の感性を育てる豊かな土壌になったと思います。それがその後の私の人生で出遭った様々な困難を、前向きに明るく乗り超える勇気と力になったと、今にして思うのです。