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自然とわたし

末盛 千枝子

今日の心の糧イメージ

いま私の住んでいる岩手県は、特に冬は寒いところで、今年は、引っ越して8年になりますが、いままでで1番寒かったと思います。それでも、子供の時に、この地方で暮らした経験があるので、やはり雪を見るととても嬉しくなります。

不思議なことがたくさんあります。雪の日の朝には、晴れると庭に動物の足跡が見えるのです。どこからきてどこへ行くのか、延々と続いています。それも何種類かの足跡です。あれは誰の足跡なんだろうとおもいながら、いつかその足跡の主に会いたいなと思ったりします。昨年の秋には、庭の隅に、茶色のふんわりした塊があって、なんだろうと思って、家の中から見ていたのですが、どうやらキツネだったようです。庭にキツネがいるなんて、なんと素敵なことだろうかと思いました。

鳥も季節によって、いろんな種類の鳥が見られます。留まるところもなぜか同じなのです。毎年2月頃には、はやぶさがこのあたりにいたなあと思いながら車を走らせていくと、たいてい出会うのです。そして、こちらがスピードを落とすと、気がついて、こちらをジッとにらみ、少し離れたところに飛んでいきます。

そして、家の屋根裏にムクドリや、アオゲラが巣を作ってしまいます。穴を開けるために、こんこんコンコン、まるで大工さんが来ているのと同じような音をさせています。本当の大工さんは、それが気に入らないようで、なんとか穴を塞ごうとするのですが、どうしても、うまくいきません。

こういうことを通して、つくづく思うのは、多くの生き物たちが住む自然が、この地球が、人間のためだけのものではないということです。