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自然とわたし

小川 靖忠 神父

今日の心の糧イメージ

かつて、季節の花々が咲き乱れ、自然に恵まれた豊かな日本がありました。四季折々に、その季節特有の美しさと雰囲気を演出してくれたものです。これらは、すでに過去の出来事なんでしょうか。花ばかりではなく、野菜にも季節感がなくなってきたような気がします。品種改良が重ねられ、昔ながらのおいしい味わいが失われてきた感じがしてなりません。それにつれて、日本人の感性にも変化が出てきたのではないでしょうか。このように感じるのはわたしだけでしょうか。

一方で、熊、イノシシ、その他の動物たちが、山にその居場所を失い、町中に餌を求めて降りてくるという現象が起きています。これは、森や森林地帯の喪失を意味しているのでしょうか。

自然界のこのような変化は、人間の生き方、感じ方、いろいろな面にも影響を与えます。それだけに大切な要素なんだなということができます。

よく考えるまでもなく、あらゆるものはお互いに密接に関係しあっているということです。したがいまして、大げさに言いますと、わたしたちの周囲に起こる今日の諸問題は、その解決のために、地球規模のあらゆる視点からの考察が求められているといえるのでしょう。

教皇フランシスコは言及しています。「総合的なエコロジー」の考察の必要性です。「エコロジーとは、生命体とその生育環境とのかかわりの研究です」。「わたしたちは自然の一部で、その中に包摂されており、それゆえ、自然とのたえざる相互作用の中にあります」したがって、1つの問題原因を突き止めるには、社会の仕組み、経済のあり方等の視点も必要となります。

自然との「共生」は「わたし」の問題です。